医療と介護の連携推進のための交流会を開催しました
9月4日(水)19時より、令和6年度 医療と介護の連携推進のための交流会を山形国際ホテルで開催しました。 この交流会は医療と介護の連携推進を目的に毎年8月から9月に行われており、医療や介護に携わる皆様ならどなたでもご参加いただけます。 今年は109名の方にご参加いただきました。
今年の開催テーマは「昭和の小学生」。 初めて会っても年齢が違っても目的が同じなら夢中で日が暮れるまで遊んだことを思い出し、少年少女にタイムスリップしてみたら….と思いながら企画しました。
射的コーナーでは童心に帰りながら景品を狙っていただきました。
山形市長寿支援課プロデュースのテーブル対抗ゲームは「チーム対抗でピカチュウを描いてみよう」というもの。初めて顔を合わせることも多いながらも、グループごとにみんなで力を合わせる姿が印象的でした。優勝チームにはポピー室長より「連携はばっちりで賞」を進呈させていただきました。
昭和の小学生が夢中で見た伝説番組「8時だよ全員集合」に倣い、 医師会理事と山形市の長寿支援課課長がドリフターズに変身!!「8時過ぎだけど全員集合!!」で「医師会長&ポピー室長」のダブル長さんを中心にドリフの早口言葉やじゃんけん大会を行いました。加藤茶(朝田先生)のアドリブや志村(高橋先生)のカラスの歌も盛り上がりました。
中締めの前には参加者全員で記念撮影をしました。連携交流会の集合写真も今年で5回目、開催する度に思い出や歴史を感じる会になってきております。
毎回、中締めは朝田先生と一緒に参加者の皆様にもご唱和いただき「花笠音頭からの花笠締め」です。毎年、連携交流会の見どころの一つです。
理事の先生方も多職種の皆様と職種の垣根を超えて共に楽しみながら連携を深めることができる会にしたいと毎年張り切って準備しております。医療や介護に関わる皆様、 来たことがある方もそうでない方も、来年のご参加を是非お待ちいたしております。(U.K)
ポピーインタビュー VOL.11 佐伯和毅氏
今回は山形市内の在宅医療に尽力くださっている緑町Kokoro薬局 薬剤師 佐伯和毅氏にお話を伺いました。
ポ) 在宅医療に薬剤師はどのように関わっているのでしょうか?
佐) 自宅で療養されている方や、介護施設に入居されている方にお薬をお届けしています。医師の訪問診療後に医師から指示をいただき薬剤師が訪問するというのが基本です。ただ、訪問診療を受けていない方でも、自分一人で通院できない場合、居宅療養管理指導として薬剤師も訪問することがあります。週1回まで訪問できるのですが、ガン末期の方などは週2回訪問が可能です。当薬局では毎月150~200件、120~130名程の方に対応させていただいております。
ポ)お薬を適切に飲めない方への支援はどのようにされていますか?
服薬状況は、訪問し実際に生活の場を見ることでわかることが多く、お昼ご飯を食べていないから薬を飲んでいなかったなど、訪問に行ってはじめて知ることがよくあります。また、訪問介護や訪問看護の方ですと定期的に入って薬剤師よりも頻繁に訪問されていることが多いので、敢えてそこの時間帯に一緒に訪問することで、色々とお話を聴けたりするんですね。やはり、生活の状況は、ケアマネジャーやヘルパーなどの介護職の方がすごく把握されており、そうした方々から情報を聞いた方が正確で早く、患者さんの適切な服薬へ繋いでいくのに助かっています。
ポ)食事の回数や生活リズム等の生活の状態を把握してアセスメントをし、支援に生かしているのですね。 薬剤師は地域住民(患者以外)とどのように関わっておられますか?
佐)当薬局では、わりと早くから健康サロンを立ち上げていました。月に1回程度、薬局近くの地区のみなさんと交流をしていて、いきいき体操やスライドを用いての健康情報の説明、血圧測定会等をやっていました。コロナも落ちついてきているので、今後、再開する予定です。
ポ)地域の方への健康づくりに取り組む薬局が徐々に増えている印象があります。
佐)健康サポート薬局という制度があり、認定を受けるにはいくつか要件がありますが、薬の相談だけでなくみなさんの健康をサポートできる薬局も増えてきていると思います。
国は薬剤師の仕事を、薬局の中から地域へ出る方へシフトしています。もちろん、処方箋調剤が基本ですが、地域の方の処方箋を応需し、そこから更に在宅医療を利用されている方に向け地域に出ていく、国も地域包括ケアシステムの中で、薬剤師の役割が果たせるよう、そうした方向性を打ち出してきているのではないかと思います。
ポ)地域の支援者(多職種)とどのように連携をしていきたいと思いますか?
佐)顔の見える研修会などは必要かと思いますが、やはり、こちらから在宅の現場に行かないと、薬剤師の実力もアップしないでしょうし、本当の現実的な部分もわかってこないので、そこにまず足を踏み入れる、具体的には訪問介護や訪問看護の方と一緒に、患者さんの家に行くということをやりたいと思っています。既にいくつか始めており、生活状況を教えてもらえるので助かっています。
ポ)一人暮らしや老々介護、身寄りがない等で見守りが必要かと思われる方が増えてきていると思います。そのような方々の生活状況を把握することも課題だと思いますが。
佐)薬剤師単独で行くと、薬の話だけしてあまりわからない部分があります。連携が進むことによって訪問介護の方などから、「今日、お昼に薬飲めてなかったんですけど」といった電話がかかってきたりします。そういう情報交換がどんどんできるようになってくると良いと思っています。
ポ)薬剤師が地域で活躍するためにどのような連携の課題があるのでしょうか?
佐)地域で活躍するという以前に薬剤師や薬局自体の課題として、訪問で薬剤師が不在の場合、店を閉めないといけないなど、時間帯的な拘束が多くあり、不在を避けるため閉店後に夜遅く訪問するという事があります。日中の時間帯に訪問できる薬剤師を補充していく必要があるのですが、薬剤師不足で難しい現状です。あとは、在宅医療を行うにあたり、たまにですが休日や夜間に緊急で対応しなければならないことや、麻薬の扱いもしないといけなくなってきているので、それに対応する薬局、薬剤師が少ないことも課題です。
在宅の研修会はたくさんあり、皆さん、知識は付けてはきていると思うのですが、実際、薬局の中の環境や会社の方針等もあって、日中外部に出られないということがあります。麻薬もそうですが、高度の技術と設備が必要な無菌調剤の処方箋も最近はあり、様々な課題があります。こういった課題は個々では解決が難しいので、薬剤師会でも検討しています。当番制にするなど、様々な立場の薬剤師が協力していけるよう検討していく必要があると感じております。
ポ)薬剤師のお仕事は随分と忙しいと伺いますが、最後に佐伯さんのお休みの時の過ごし方や趣味など教えていただけませんか?
佐)連休が取れる時は、よく家族とディズニーランドに行っています。自宅での過ごし方は、今は、犬と遊ぶことでしょうか。家にチワワが2匹います。色がカフェラテのように茶と白なので、ラテ、モカと子供達が名付けました。あとは、ランニングでしょうか。毎年、まるごとマラソンに出ています。約20kmの市内を走るハーフマラソンですが、当薬局もコースに入っていて丁度登り切って下がってくる大変苦しいところなのですが、地域の方や患者さんが見ていらっしゃるので、ここを通るときは笑顔で走っています(笑)。初めは医師の方と一緒に出たりもしていました
ポ)プライベートまで、多職種連携なのですね。(笑)
<インタビューを終えて…>
最近、薬剤師の方々との交流の機会が増え、もっと気軽に相談してもいいんだと、薬剤師への印象が変わって来たところですが、本日、佐伯さんからお話を伺い、更に身近に感じられるようになった気がします。今後の地域での更なるご活躍を期待しております。
お忙しい中でのインタビューのご協力、ありがとうございました。
令和6年度 在宅医療・介護推進フォーラムを開催しました
ポピー開設から10年目の節目、標記フォーラムを 6月22日(土)13:30~ 山形ビッグウイング2階大会議室で 開催いたしました。
当日は383名の皆様にご参加いただきました。(会場の収容人数に限りがあり、座席をご用意できなかった方も大勢いらっしゃいました。申し訳ございませんでした。)
フォーラムの第1部では社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子先生をお招きし「おひとりさまでも 最期まで 自分の家で」をテーマにご講演いただきました。
『おひとりさまは「お気の毒でしょう」でも「お寂しいでしょう」というイメージが強いが、むしろ逆でストレスも悩みも少ない。介護保険を使い自分らしく自分の家で最期を迎えることはできる。むしろ在宅死の秘訣は独居である』と、ユーモアを交えながらお話しいただき、会場は笑いに包まれました。
第2部は山形の在宅おひとりさまと題し、実際に寝たきりで20年以上おひとり暮らしをしていらっしゃる方と介護サービスの実際を介護保険事業所連絡会のご協力をいただきご紹介しました。その後の座談会では上野先生から『自分たちが将来に使う介護保険制度を他人に任せるのではなく、自分たちで声を上げ、充実させたり守っていかなければならない。』 とご助言をいただきました。
アンケートには「考え直してみようと思う。」「介護保険のことをもっと勉強しようと思った。」「看取りの時に最期の恩返しをしたいと思っていたが今のうちにできることをしていきたい。」「相談先が分かった」など、参加者の多くが心を動かされたフォーラムになったようです。このアンケートは集計して上野先生にお届けする予定です。
この日は基幹型地域包括支援センターの他、生活支援コーディネーター、おれんじサポートチーム、暮らしの保健室やまがた、在宅ケア・コンシェルCOCONUR、など、多くの方々に運営協力をいただき、大きな事故もなく開催することができました。また介護事業所連絡会の皆様には開催前からプレゼンの準備で何度もお集まりいただきながらこの日を迎えました。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
間もなくオンデマンド配信にお申込みいただいた方には配信のURLのご案内が届きます。オンデマンド配信のアンケートも上野先生にお届けしますのでぜひ感想やご意見などにもご協力をお願いいたします。
次のフォーラムは再来年、またのご来場をお待ちしております(U.K)
ポピーインタビュー VOL.10 後藤和樹氏
保険医療機関などにおいて患者や家族の相談にのり、社会福祉の立場から経済的・心理的・社会的問題の解決、調整、社会復帰を支援する仕事が「医療ソーシャルワーカー」です。
今回は、昨年、創立100周年を迎えた社会医療法人二本松会の山形さくら町病院医療相談室で、精神保健福祉士(PSW)として活動されている後藤和樹氏にお話を伺いました。
ポピー)病院精神科の医療相談窓口の精神保健福祉士の皆さんは、どのような業務を行っているのですか?
患者さんやご家族からの福祉医療を中心とした生活全般のご相談や、受診、入退院のご相談に対応しておりますが、当室は地域連携室の役割も担っているので、ご相談に関わっての関係機関との調整等も行っております。また、高齢の方の場合、内科的な身体合併疾患のある方が多いので、転院や退院の際には医師や看護師等と連絡調整しながら進めております。
ポピー)精神科医療の分野で、今、注目されていることや、地域との関わりについて教えて下さい。
令和3年3月に、厚生労働省から示された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に関わる検討会」の報告書では、地域包括ケアシステムにおける精神科医療機関に対して国が求める役割が、4つ挙げられております。
一つ目が「ケースマネジメントを含む、いわゆる『かかりつけ精神科医』機能を果たすこと」、二つ目が「地域精神科医療における役割を果たすこと」、三つ目が「精神科医療救急体制に参画すること」、四つ目が「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に資する拠点機能を果たすこと」です。
この一つ目の「ケースマネジメントを含む、いわゆる『かかりつけ精神科医』機能」という点について、「精神障害を有する方等の『本人の困りごと等』に寄り添った診療を提供し、伴走し、支援することはもとより、精神科医療機関の多職種及び地域援助事業者、地域包括支援センター等や行政機関の職員等と連携しながらチームを総括し、ケースマネジメントを行うことが求められる」として包括的支援マネジメントの実施が求められております。また、報告書では更に、「地域援助事業者や地域包括支援センター等との連携を図り、精神障害を有する方等の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつながるよう情報提供する等社会的な機能を発揮することが挙げられる。」とされています。
当院の医療展開もこうした国の方針に合わせ、現在、医療福祉相談室、地域医療連携室という二つの機能に合わせ、患者さんの地域移行や在宅生活を包括的支援マネジメントにより効果的に支援する新たな部署として「在宅支援室」の開設準備を進めているところです。包括的支援マネジメントにつきましては厚生労働省のホームページに実践の資料が載っております。技術的には相談支援やケアマネジメントの流れと同じなのですが、これらを病院内外で実践します。地域の皆様と連携しながら、より丁寧な在宅支援を行えるよう、一緒に伴走していただけたらと考えております。
ポピー)地域包括ケアシステムというのは、本人がいて住まいがあって、医療機関があって、その人がその地域でその人らしく暮らせるというところを支援するシステムなので、精神疾患を抱えた方の地域の支援の輪に、精神科医療機関が入ってくれるということは、地域としても心強いと思います。
病院側でそういった役割を担っていくということは、今後、益々大切になると考えています。院内で作成したプランを在宅支援室から地域の事業者の方々とも共有しながら、一緒に本人を支えていけると、一つのツールをもとに患者さんを中心として多職種の皆さんが繋がり、患者さんが体調を崩されて入院となった時には、その共通したツールを元に入退院ができる、患者さんが地域で安心した生活を送っていただけるといった体制を作っていきたいと考えています。
あとは、先程お話した四つ目の、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に資する拠点機能」ということで、「協議の場への参画、地域住民に対する普及啓発への参画及び協力、同システムの関係機関への情報発信及び研修への関与や精神保健相談への協力など社会的な機能の発揮が挙げられる」というところも、在宅支援室で担っていけるようになると良いのではないかと思っております。
ポピー)本当に、精神医療における在宅医療の基本的な役割を担う感じですね。地域も心強いです。 多職種連携に向け、一言、お聞かせてください。
医療相談室のソーシャルワーカーは、患者さんやご家族からの相談だけでなく、医療・介護専門職の方からのご相談にも対応させていただきますので、気軽にお声がけいただければと思います。また、患者さんの安心、安全な地域での生活には医療・介護専門職の関わりが大切だと思いますので、円滑な関係を一層進め、多職種連携で効果的な支援を行っていけたらと考えております。
ポピー) 最後に、後藤さんの休日の過ごし方や、最近、関心を向けている事を教えて下さい。
3人の息子が、皆、スポーツをやっておりまして、高校生の長男は、今は受験でスポーツ活動を休んでいますが、中学2年生の次男は部活でバレーを、小学6年生の三男はスポーツ少年団で空手を、その他にけん玉を習っております。その練習の送迎や大会参加等で慌ただしく、自分に時間をかけていられない状態です。とは言え、大会や遠征の際には応援だけでなく、家族で観光を楽しむようにしております。一昨年、三男が全日本少年少女けん玉道選手権大会で3位を取った時には開催地が東京だったので、東京観光を楽しみました。
<インタビューを終えて…>
精神科病院の医療相談室が、患者さんの退院移行や在宅生活に向けて、地域支援者と共に積極的に支援を行うとの話を伺い、地域における在宅医療・介護の連携の輪が益々広がっていくのではないかと嬉しく思いました。ゆったりとしたやさしい口調で、でも周りを笑わせながら話をされるお人柄に癒される思いでした。お忙しい中、インタビューを受けていただきありがとうございました。