ブログ
Feb 14, 2024

ポピーインタビュー VOL.10 後藤和樹氏

保険医療機関などにおいて患者や家族の相談にのり、社会福祉の立場から経済的・心理的・社会的問題の解決、調整、社会復帰を支援する仕事が「医療ソーシャルワーカー」です。

今回は、昨年、創立100周年を迎えた社会医療法人二本松会の山形さくら町病院医療相談室で、精神保健福祉士(PSW)として活動されている後藤和樹氏にお話を伺いました。

ポピー)病院精神科の医療相談窓口の精神保健福祉士の皆さんは、どのような業務を行っているのですか?

患者さんやご家族からの福祉医療を中心とした生活全般のご相談や、受診、入退院のご相談に対応しておりますが、当室は地域連携室の役割も担っているので、ご相談に関わっての関係機関との調整等も行っております。また、高齢の方の場合、内科的な身体合併疾患のある方が多いので、転院や退院の際には医師や看護師等と連絡調整しながら進めております。

ポピー)精神科医療の分野で、今、注目されていることや、地域との関わりについて教えて下さい。

令和3年3月に、厚生労働省から示された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に関わる検討会」の報告書では、地域包括ケアシステムにおける精神科医療機関に対して国が求める役割が、4つ挙げられております。

一つ目が「ケースマネジメントを含む、いわゆる『かかりつけ精神科医』機能を果たすこと」、二つ目が「地域精神科医療における役割を果たすこと」、三つ目が「精神科医療救急体制に参画すること」、四つ目が「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に資する拠点機能を果たすこと」です。

この一つ目の「ケースマネジメントを含む、いわゆる『かかりつけ精神科医』機能」という点について、「精神障害を有する方等の『本人の困りごと等』に寄り添った診療を提供し、伴走し、支援することはもとより、精神科医療機関の多職種及び地域援助事業者、地域包括支援センター等や行政機関の職員等と連携しながらチームを総括し、ケースマネジメントを行うことが求められる」として包括的支援マネジメントの実施が求められております。また、報告書では更に、「地域援助事業者や地域包括支援センター等との連携を図り、精神障害を有する方等の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつながるよう情報提供する等社会的な機能を発揮することが挙げられる。」とされています。

当院の医療展開もこうした国の方針に合わせ、現在、医療福祉相談室、地域医療連携室という二つの機能に合わせ、患者さんの地域移行や在宅生活を包括的支援マネジメントにより効果的に支援する新たな部署として「在宅支援室」の開設準備を進めているところです。包括的支援マネジメントにつきましては厚生労働省のホームページに実践の資料が載っております。技術的には相談支援やケアマネジメントの流れと同じなのですが、これらを病院内外で実践します。地域の皆様と連携しながら、より丁寧な在宅支援を行えるよう、一緒に伴走していただけたらと考えております。

ポピー)地域包括ケアシステムというのは、本人がいて住まいがあって、医療機関があって、その人がその地域でその人らしく暮らせるというところを支援するシステムなので、精神疾患を抱えた方の地域の支援の輪に、精神科医療機関が入ってくれるということは、地域としても心強いと思います。

病院側でそういった役割を担っていくということは、今後、益々大切になると考えています。院内で作成したプランを在宅支援室から地域の事業者の方々とも共有しながら、一緒に本人を支えていけると、一つのツールをもとに患者さんを中心として多職種の皆さんが繋がり、患者さんが体調を崩されて入院となった時には、その共通したツールを元に入退院ができる、患者さんが地域で安心した生活を送っていただけるといった体制を作っていきたいと考えています。

あとは、先程お話した四つ目の、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に資する拠点機能」ということで、「協議の場への参画、地域住民に対する普及啓発への参画及び協力、同システムの関係機関への情報発信及び研修への関与や精神保健相談への協力など社会的な機能の発揮が挙げられる」というところも、在宅支援室で担っていけるようになると良いのではないかと思っております。

ポピー)本当に、精神医療における在宅医療の基本的な役割を担う感じですね。地域も心強いです。 多職種連携に向け、一言、お聞かせてください。

医療相談室のソーシャルワーカーは、患者さんやご家族からの相談だけでなく、医療・介護専門職の方からのご相談にも対応させていただきますので、気軽にお声がけいただければと思います。また、患者さんの安心、安全な地域での生活には医療・介護専門職の関わりが大切だと思いますので、円滑な関係を一層進め、多職種連携で効果的な支援を行っていけたらと考えております。

ポピー) 最後に、後藤さんの休日の過ごし方や、最近、関心を向けている事を教えて下さい。

3人の息子が、皆、スポーツをやっておりまして、高校生の長男は、今は受験でスポーツ活動を休んでいますが、中学2年生の次男は部活でバレーを、小学6年生の三男はスポーツ少年団で空手を、その他にけん玉を習っております。その練習の送迎や大会参加等で慌ただしく、自分に時間をかけていられない状態です。とは言え、大会や遠征の際には応援だけでなく、家族で観光を楽しむようにしております。一昨年、三男が全日本少年少女けん玉道選手権大会で3位を取った時には開催地が東京だったので、東京観光を楽しみました。

姫路城を背景に
三男さん 全日本少年少女けん玉道選手権大会で堂々の3位

<インタビューを終えて…>

精神科病院の医療相談室が、患者さんの退院移行や在宅生活に向けて、地域支援者と共に積極的に支援を行うとの話を伺い、地域における在宅医療・介護の連携の輪が益々広がっていくのではないかと嬉しく思いました。ゆったりとしたやさしい口調で、でも周りを笑わせながら話をされるお人柄に癒される思いでした。お忙しい中、インタビューを受けていただきありがとうございました。

Posted in ブログComments Closed 

 

Nov 27, 2023

【開催報告】令和5年度 山形市立病院済生館 医療福祉研修会 (山形市医師会在宅医療・介護連携室ポピー合同研修会)

11月24日(金)18時~市立病院済生館4階大会議室にて標記研修会が行われました。会場には病院から18名、地域から28名の多職種の皆様にお集まりいただきました。

【嚥下障害のある患者が食べられるように援助するには~実践から学んでみましょう~】をテーマに研修とグループワークを行いました。

まず、市立病院済生館 管理栄養士阿部睦子氏より「食べられるものを食べたい形で選んでみましょう」と題し、分類に沿った食品の形状と選び方、市販品の活用の仕方等お話いただきました。 食材の形を残しながら酵素の力で触感を残しながら舌でつぶせる硬さ調理された市販品の試食もあり、食材のリアル感や味わいなどに歓声が上がっていました。

次に市立病院済生館 摂食・嚥下認定看護師渡邉和美氏より「嚥下障害のある方の体位と食べさせ方考えてみましょう」と題し、嚥下のメカニズムや食事の際の姿勢の整え方や介助の仕方、スプーンの使い方などお話しいただきました。実演もあり配慮するポイントなど視覚的にわかりやすく教えていただきました。

研修の後には「食べさせてあげたい気持ちを実現するため病棟で取り組んでいること、在宅で取り組んでいること」をテーマに グループディスカッションを行いました。今回、介護支援専門員や訪問看護師の他、歯科医師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、言語療法士、管理栄養士、介護士などの様々な職種の方にご参加いただいたので、様々な視点から意見交換が行われました。時間は十分に取れなかったのですが、研修会が終了した後も参加者が会場に残り、実際の食事や試供品を試食しながら情報交換する姿などもみられていました。

アンケートでは「いろいろな職種の方の話、取り組みなど聞くことができてよかった。食事介助の仕方などポイントがとても分かりやすく勉強になった」「いろんな職種で集まることができるのは貴重だと思った」「様々な職種の方のお話が聞けて楽しかった。もっと時間が欲しかった。」等の感想をいただきました。

病院と地域が合同で意見交換・情報交換できる貴重な研修会、市立病院済生館のご協力をいただきながらこれからも継続して開催していきたいと思います。

追伸:今回、参加者の方より「施設で行うことのできる口腔ケアのやり方や食べることを維持できるような取り組みがあれば教えていただきたい」との声がございました。今年度、ポピーでは山形県歯科衛生士会のご協力で口腔ケアに関する研修動画(15分程度の動画5本)を配信しております。ぜひ施設内の皆様でご覧いただき日々のケアに活用していただければと思います、併せて施設への講師派遣事業も行っておりますのでご活用ください。詳しくは添付案内をご覧ください。

Posted in ブログComments Closed 

 

Nov 20, 2023

秋は住民講座のシーズン!?

これまで秋に開催していた在宅医療・介護推進フォーラムですが、ポピーでは次回開催を来年6月に移動させていただきました。そのため今年度は多くの住民講座で お話させていただくことができました。 地域包括支援センターや生活支援コーディネーターの皆様には 打合せや準備など丁寧にご対応・ご協力いただき大変ありがとうございました。

● ACP=愛称「人生会議」とは

10月3日(火)、山形県生涯学習センター「遊学館」3階会議室にて、第四地区社会福祉協議会の理事、福祉協力員、民生委員児童委員や地域住民の方々を対象とした講座が開催され、 地域包括支援センターかがやきの後藤社会福祉士と一緒に 「学びましょう!(Ⅱ)家族に残したいことACP=愛称『人生会議』とは」をテーマにお話しさせていただきました。

講座の中では、ACPが将来受ける医療やケアにどのように関連していくかを考えていただけるよう、日本老年医学会製作の動画「自分らしく『生きる』ために~ACPってなに?~」をご覧いただき、人生会議を行うことの意味について考えていただき、併せて自分自身についての価値観について改めて考えるワークを行いました。講座後のアンケートでは「自分らしく生きるために、もっと自分を見つめてACPについて話し合ってみたい」「自分を客観的に見る事ができ、どのように人生の最期を迎えたいか考えるきっかけになった」「自分の事をもっとはっきりと家族に知らせなければと思った」等の感想が寄せられました。

● もしものときのために「人生会議パートⅡ」

10月6日(金)、西部公民館 3階「集会室」にて、第二地区の「民生児童委員・主任児童委員・福祉協力員合同研修会」が開催され、ポピーより、「もしものときのために「人生会議パートⅡ」と題して、予防介護や人生会議についてお話させていただきました。同地区での人生会議の講義は3年ぶり、2回目となります。前回は人生会議について、大切な人のために行うことをお話させていただきましたが、今回は、社会とのつながりと健康との関連をお話し、いっぷぐかーどを用いて地域のつながりの中で人生会議をしてみることを体験していただきました。

講座後のアンケートでは参加者の方々より、「元気なうちに自分の考えを他人に伝える事は『大事だなあ』とづくづく思った」「人とのつながり、これからの事を考えることは、とても大切な事とわかった等の感想が寄せられました。

● 10月12日 福祉のまち蔵王ふれあい集会

10月12日(木)、福祉のまち蔵王ふれあい集会が開催され、ポピーより「人生会議と在宅療養」~いつまでも住み慣れたまちで自分らしい生活を送るために~と題し、介護予防や人生会議についてお話させていただきました。 講座の中では 「いっぷぐかーど」を使って 実際に地域のつながりの中で自分のことについて話していただきました。

アンケートでは、「老いた時、自分はどうするかを考えるきっかけになった」「人生会議の大切さ、皆さんに伝える事で、より大事な事に気付いた」「できれば、親、兄弟、夫と元気なうちに人生会議ができると良いと思った」「在宅療養についてもっと聞きたかった」「適度の運動が大事と思っていたが、運動よりもつながりが重要ということが分かった」等の感想が寄せられました。

この他にも

●8月29日(火)まちなか保健室「在宅療養について」

●10月13日(金)西山形福祉道場「人生会議について~つながりを作るいっぷぐカードを使って話してみよう~」

●10月17日(火)まちなか保健室『いっぷぐかーど』を使って話してみよう

等、多くの住民の皆さんとお会いする機会をいただけました。ありがとうございました。

尚、在宅医療・介護推進フォーラムは、令和6年6月22日(土)に山形ビッグウイングにて、上野千鶴子先生をお招きして開催する予定です。予定が近くなりましたらご案内させていただきます。

Posted in ブログComments Closed 

 

Nov 20, 2023

南西ブロックの支援者の皆様に一般住民への人生会議普及啓発活動についてご報告させていただきました

7月5日(水)、山形市役所11階大会議室を会場に、「南西ブロック居宅介護支援事業所・地域包括支援センター合同研修会」あらためて人生会議を考える~いっぷぐかーどの体験を通して~と題し、人生会議普及啓発の実際についてポピーと山形西部地域包括から支援者の皆様にご報告する機会をいただきました。「 いっぷぐかーど」とは人生会議の普及啓発に活用できるツールとして山形西部包括支援センターとポピーが一緒に作成したカードゲームです。

ケアマネジャーや医療、福祉関係者約70名の方が参加されました。人生会議普及啓発の実際について報告した後、支援者の皆様にいっぷぐカードを体験していただきました。

参加された方々からは、「楽しみながらその人の気持ちを知ることが出来た」「カードを使用し話す事や他者の経験を聞くことを通して人生について改めて振り返り、未来を考えるきっかけができると思った」「何気ない会話の中の一つ一つをパズルにはめ込んでいくと、その人の物語が完成していくというお話が心に残った」等の声が寄せられました。

厚生労働省の調査では、将来受ける医療や介護についての話し合いが必要だとわかっていても話せないことの理由の一つに およそ半数以上の方が「話すきっかけがない」と回答しています。この「話すきっかけがない」ことにアプローチする「いっぷぐカード」というツールを多くの支援の現場で皆様に活用していけるよう、少しづつ準備していきたいと思います。

Posted in ブログComments Closed 

 

1 2 3 4 5 35